ごあいさつ
運営委員長 大森孝一
耳鼻咽喉科の臨床に関わる全ての皆様に一言ご挨拶申し上げます。
「耳鼻咽喉科臨床学会」は、これまで日本全国の様々な地域の皆様に耳鼻咽喉科の最新医療を届けてまいりました。1926年(大正15年)に第1回「耳鼻咽喉科臨床会」総会および学術講演会が京都市で開催されてから西日本を中心に行われてきましたが、その後は全国に広がり北海道・東北で5回、関東で7回開催されました。来年2026年には100周年になります。これを機会に学会名称を「日本耳鼻咽喉科臨床学会」とするのがふさわしいとのご意見を頂戴し、2025年(令和7年)2月7日と6月25日の常任運営委員会、6月25日の運営委員会で審議され、6月26日の総会にて承認されました。
本学会は1926年から1939年(昭和14年)まで開催され、第二次世界大戦での中断を経て1952年(昭和32年)に再開されました。1965年(昭和40年)~1971年(昭和46年)までは年2回、1972年(昭和47年)からは年1回開催されています。1985年(昭和60年)7月、時代の変化に応じて会則を改正し、学会名も「耳鼻咽喉科臨床学会」と改められました。そして、この度、「日本耳鼻咽喉科臨床学会」と名称変更して、新しく生まれ変わります。
一方、医学誌としては、1908年(明治41年)3月、京都大学和辻春次教授によって「耳鼻咽喉科京都臨床」が刊行され、1925年(大正14年)11月、第19巻からは星野貞次教授によって現在の「耳鼻咽喉科臨床」に改題され、年4回発行されるようになりました。戦後の1947年(昭和22年)、後藤光治教授により本誌が復刊され、1950年( 昭和25年)には現在の年12号、毎月発刊になりました。
2018年(平成30年)から、本学会の英文誌International Journal of Practical Otolaryngology(IJPOL)を刊行しています。これまでは「耳鼻咽喉科臨床」への投稿論文から選んで掲載していますが、今後は一般の英文論文も受け入れて発展させたいと思います。
耳鼻咽喉科・頭頸部外科学は取り扱う領域が幅広く多彩であり、聴覚、平衡覚、嗅覚、味覚などの感覚器、聴覚や音声言語のコミュニケーション、摂食嚥下や呼吸などのQOLや生命維持、命に関わる気道救急や頭頸部がんの医療を担っています。
国内外で開発される医療機器や医薬品は急速に進歩しており、臨床研究の推進や治療成績の向上が求められます。医療安全や医療倫理、個人情報、利益相反は患者と医療者をともに守るために重要です。診療支援や効率化を目指して医療DXも国をあげて進んでいます。一つ一つの症例の経験も地に足をつけた医療として大切ですし、若手医師の発表の登竜門としての役割も果たしていければと思います。このような医療激変時代において、本学会が耳鼻咽喉科における臨床医学のプラットフォームになれればと思っています。
今後とも日本耳鼻咽喉科臨床学会をご支援いただきますようお願い申し上げます。